紅花の薬効成分のお話
漢方と紅花
紅花は947年、宋代の中国の書物『開宝本草』に初めて記載がみられ、「血を活し,燥を潤し,痛を止め,腫を散じ,経を通ずる.多く用いれば留血を破り, 少しく用いれば血を養う」とあるよう血液の滞り障害に珍重をされていた事が伝えられています。
また、李時珍は、「気味は甘、平。無毒で、心憂鬱積、気悶して散じないものの血を活かす。久しく服用すれば精神を愉快にし,驚悸を治す」「傷寒の発狂には、紅花2分を水1盞に1夜浸して服用する」と、天方国(アラビア)から伝えられたとされる処方を収載しています。
山形県衛生研究所では紅花の薬理効果を実験しコレステロール低下作用、鎮静作用、鎮痛作用、中枢抑制様作用などを立証しています。また、紅花からの新規化合物を取り出す事に成功しており、「ステロール」「アルカンジオール」が癌抑制作用になる事を立証しています。東北文化大学の平松緑教授は紅花花弁抽出液にも活性酸素を除去する作用があり、脳疾患の発生を抑える事を立証しています。また紅花には「ビタミンE、リノール酸、リノレン酸、フリーラジカルを消し去る葉緑素のクロロフィルのほかにフラボノイドが含まれており、抗酸化作用がある。」と記しています。
参考文献
- 「紅花の薬理学的研究―中枢に対する作用および抗炎症作用-」山形県衛生研究所 笠原義正、久間木国男、佐藤孝男、片桐進
- 『生薬学雑誌』43(4),331~338(1989)
- 『紅花の薬理学的研究(第2報)―抗炎症作用-」山形県衛生研究所 笠原義正、久間木国男、片桐進
- 『生薬学雑誌』45(4),306~315(1991)
- 『紅花と健康』平松 緑(1999年・千寿食品株式会社発行)
紅花のスーパーパワー!
紅花は黄色⇒オレンジ⇒紅と色を変化させながら花の一生をおわします。紅花は本当は黄色の色素としての生命体です。虫が受粉すると、受粉をお知らせするサインとして紅くなるメカニズムなのです。
黄色の色素はサフラワーイエロー・紅色の色素はカルタミン
一つの花の中で色素が二つあるのは紅花だけの特徴です。色素はポリフェノールなので、活性酸素を除去する力があります。紅花はポリフェノールが二つあるので、一つが酸化してももう片方で酸化を防ぐというスーパーパワーがあるのです!このパワーゆえに古代から漢方生薬として珍重され、現在では癌の治療薬の成分としても使われているのです。山形大学の佐藤慎吾教授は紅花の構造は互変異体であるとし、紅色素はイソカルタミンであると構造を新たに発表しました。

音羽屋14代に丁寧に紅花色素を説明して下さる佐藤慎吾教授
成分分析/東北公益文科大学平松緑研究室
5種類の葉に含まれるポリフェノール含有量の比較
| ー | 明日葉青汁 | 大麦若葉青汁 | ケール粉末 | 桑の葉粉末 | 最上紅花若菜粉末 |
| ルテオリン | 319 | 52.2 | 18.0 | 18.7 | 41,583 |
| ケルセチン | 387 | 19.9 | 10.9 | 64.3 | 21,925 |
各値は内部標準物質のカンフル-10-スルホン酸を1とした相対値(×10,000)を示す。
測定はメタボローム分析(LE-TOFMOSのpositiveモード)により行った。
紅花若菜には約100倍のルテオリンとケルセチンが含まれている
5種類の葉に含まれる抗酸化作用の比較
| 葉の種類 | 値(IC50μg/ml) |
| 最上紅花若菜の粉末 | 1.0 |
| 桑の葉粉末 | 2.0 |
| 明日葉青汁 | 4.0 |
| 大麦若葉青汁 | 10.0以上 |
| ケール粉末 | 10.0以上 |
IC50の値が低いほど抗酸化活性が大きいことを意味する。
最上紅花若菜が最も抗酸化作用が大きい
4種類の葉野菜に含まれる栄養成分の比較
| 単位 | 最上紅花若菜 | 春菊 | 小松菜 | ほうれん草 | |
| ビタミンA | μg/100g | 304 | 380 | 260 | 350 |
| ビタミンB1 | mg/100g | 0.08 | 0.1 | 0.09 | 0.11 |
| ビタミンB2 | mg/100g | 0.22 | 0.16 | 0.13 | 0.20 |
| ビタミンC | mg/100g | 74 | 19 | 39 | 35 |
| ナイアシン | mg/100g | 1.25 | 0.8 | 1 | 0.6 |
| Ca | mg/100g | 190 | 120 | 170 | 49 |
| エネルギー | kcal/100g | 38 | 22 | 14 | 20 |
| 脂質 | % | 0.6 | 0.3 | 0.2 | 0.4 |
| たんぱく質 | % | 2.8 | 2.3 | 1.5 | 2.2 |
| 食物繊維 | % | 3.8 | 3.2 | 1.9 | 2.8 |
他の主要な葉野菜に比べて栄養成分が豊富なことが一目瞭然
アミノ酸含有量
| 成分名 | 含有量 | % |
| アスパラギン酸 | 368.7 | 10.4% |
| スレオニン | 76.3 | 2.2% |
| セリン | 177.3 | 5.0% |
| アスパラギン | 551.2 | 15.6% |
| グルタミン酸 | 1008.5 | 28.6% |
| グルタミン | ||
| グリシン | ||
| アラニン | ||
| シトルリン | ||
| バリン | ||
| ニコチアナミン | ||
| メチオニン | ||
| イソロイシン | ||
| ロイシン | ||
| チロシン | ||
| フェニルアラニン | ||
| γ-アミノ酪酸 | ||
| リジン | ||
| ヒスチジン | ||
| アルギニン | ||
| プロリン | ||
| 合計 |
