紅花のお話

べにばなと烏梅

烏梅は黒梅とも呼ばれ、約1400年前に遣隋使、遣唐使により薬用として伝えられ、その後、紅花染めや化粧用の紅の媒染料として使用されてきました。
明治以降、化学染料の普及により烏梅の需要は激減し、現在は、伝統技法を守る数少ない染色家のみが烏梅を媒染料として、手間暇をかけて染色を行っております。
烏梅を媒染料とした紅の色は鮮やかで美しく、化学染料では出すことができない色目です。

現在烏梅は奈良県月ヶ瀬にある「梅古庵」の国選定保存技術者中西さんが伝統的な技法を守り続けておられます。
中西さんは美しい色を染める染色家の思いを大切に、そして「天神さんをお祀りするつもりで、売れても売れなくても梅を焼け」という家訓を守り、最後の一軒として烏梅を焼き続けています。

紅花音羽屋では中西さんの烏梅を使わせて頂いています。中西さんの烏梅で染めた紅花染めはとても美しく柔らかくも華やかな紅色の光になります。

烏梅の国選定文化保存技術者であられる中西さんに烏梅の工程を教えて頂きました。
烏梅は中西さん、奥様、息子さん、娘さんの4人で力をあわせて製造していました。一つ一つの工程が目配り、気配り、力の配りと全てが職人技でした。はけごで梅を転がし、煤をまぶすお仕事を中西さんはとても軽快にゴロゴロとなさられていたのですが、実際にやらせていただいたら、あまりの重さと難しさでまったく手が動きませんでした。

中西さんの「梅古庵」は「ポツンと一軒家」で取材をされたお家でまさに山の中の桃源郷!
とてもキレイで美しい景色でした。